R&Dテーマ探索に問題を感じられたらご検討ください
新しいR&Dテーマを探そうとして、論文、特許、技術ニュースを検索する。それはごく普通の方法です。しかし立ち止まって考えてください。検索できるのはその名前やキーワードをすでに知っている範囲ですよね。最近ではテクノロジー・インテリジェンス(TI)と呼ばれるツールもありますが、その場合でも基本的に同じです。
R&Dテーマが見つからない本当の理由は、その専門領域が飽和状態になっているということではありませんか?もし、新しい可能性が、自社の専門領域とは異なる産業や技術分野にあるとしたら、その分野の名前も、検索すべきキーワードも、まだ知りませんよね?。
知らないことを、どうやって探すのか?それがこの問題の本質なのです。
ConceptMiner R&D — Cross-Domain R&D Concept Explorationは、この問題を解決するAIシステムです。自社に蓄積された技術の「勝ちパターン」「構造」「関係」「型」を抽出し、LLMを用いて探索することで、「どこを探索すればよいか」の手がかりが得られます。これを行うにはまず自社技術の棚卸しから始まります。従来的な方法ですと人力で調査シートを埋めていくような作業をやったかもしれません。しかし、現代では違います。まずナレッジベースを構築するところから始まります。ただし、これは通常のRAGシステムのように質問に回答するだけのものではありません。
手短に言えば、ConceptMiner R&D は社内の技術文書などから概念構造モデルに基づくナレッジベースを自動生成して、LLMがそれらの文書を参照できる環境を整えて、重要な技術要素を切り出して抽象化・一般化することにより、LLMがすでに学習している知識空間を横断的に探索するための「問い」を作成します。LLMは凡庸な問いには凡庸な回答しか返しませんが、鋭い切り口で作られた問いには全力で回答して来ます。LLMはあらゆる技術の詳細な知識を有しています。そうして得た回答から戦略マップが作成できます。戦略的な観点から有望なテーマが見つかれば、従来通りの方法やツールでそれを探索してください。
既知の技術から、未知の分野への「問い」を作る
ConceptMiner R&Dが生成する「問い」とは、自社がすでに持っている技術について、
「この原理は、ほかのどこで役立つだろうか」
「同じ機能を必要としている別の産業はないだろうか」
「この問題と似た問題を抱えている分野はないだろうか」
という問いを立てるということです。
例えば、
「微粒子を液体中に長期間安定して均一分散させる」
という技術要素があったとします。
この技術を現在の製品名のまま検索するのではなく、
微粒子を長期間安定して均一分散させる原理が役立ちそうな場面は、どんなところにありますか?
とLLMに問いかければ、現在の専門分野とは異なる産業や用途が候補として現れる可能性があります。
そこで得られた新しい分野名、技術名、用途名は、その次からは通常の情報検索に使える新しい検索キーワードになります。
つまり、
既知の技術
→ 抽象化された問い
→ 未知の候補
→ 新しい検索キーワード
→ 通常の情報探索
という橋を作ります。
その起点となるのが、企業内の技術知識です
異分野探索のために、まったく新しい情報を最初から集める必要はありません。
企業にはすでに、
- 研究報告書
- 技術レポート
- 特許
- 設計資料
- 実験記録
- 製品資料
- 過去の研究テーマ
- 技術提案書
- 品質・製造に関する資料
など、多くの技術知識が蓄積されています。
ここには、製品名や技術名だけでは見えにくい、
- 材料
- 機能
- 原理
- 作用
- 加工方法
- 製造工程
- 制御方法
- 計測技術
- 解決してきた問題
- 使用条件
- 制約条件
- ノウハウ
などが含まれています。
これらはすべて、異分野探索の「種」になり得ます。
現代の技術棚卸しを、ナレッジベースから始める
富士フイルムは、写真フィルム市場の縮小に対応する過程で、写真感光材料を中心に培ってきた技術を洗い出し、新事業のシーズとなり得る技術を明確にする「技術の棚卸し」を行ったと説明しています。その技術資産をもとに、ヘルスケアやエレクトロニクスなどの成長領域を選定しました。
化粧品分野では、写真フィルムで培ったコラーゲン研究、抗酸化・紫外線防御技術、ナノテクノロジー、光解析・コントロール技術などが活用されています。
重要なのは、単に「写真から化粧品を思いついた」という話ではありません。
自社が何を持っているのかを技術要素まで掘り下げて見直すことで、異なる分野との接点が見えてきたという点です。
現在では、このような技術の棚卸しを、人間が資料を一件ずつ読みながら行うだけでなく、企業内文書をAIが横断的に参照できるナレッジベースとして構築し、LLMを利用して支援することができます。
そして、その棚卸し結果を「整理して終わる」のではなく、異分野探索の出発点として利用します。
Cross-Domain R&D Concept Explorationの流れ
私たちは、次のような探索プロセスを想定しています。
STEP 1 技術文書をナレッジベース化する
対象となる研究報告書、特許、設計資料、製品資料などを、LLMが横断的に参照できる状態にします。
同時にConceptMinerのGNG(Growing Neural Gas)を利用して、文書群を概念的な類似性に基づいて構造化します。
これによって、
「自社にはどのような技術知識があり、それらがどのような関係にあるのか」
を俯瞰する技術マップを構築します。
ナレッジベースは単に社内の質問に答えるための仕組みではありません。
ここでは、異分野探索のための基盤として利用します。
STEP 2 LLMで「技術要素」を切り出す
LLMがナレッジベースを参照しながら、異分野探索の起点になりそうな技術要素を抽出します。
例えば、
- 材料
- 機能
- 原理
- 作用
- 工程
- 加工方法
- 制御技術
- 計測技術
- 解決している問題
- 特殊な制約条件
などです。
ここで重要なのは、単純なキーワード抽出ではありません。
現在の製品や用途という文脈から一度離れて、
「この技術は本質的に何をしているのか」
というレベルまで切り出します。
一つの文書や技術から、複数の探索要素が得られることもあります。
STEP 3 技術要素と「質問パターン」を組み合わせる
抽出した技術要素だけをLLMに渡して自由にアイデアを出させるのではありません。
異分野探索の視点となる複数の質問パターンを用意し、技術要素と自動的に組み合わせて探索プロンプトを生成します。
例えば、
原理から探す
「〇〇の原理が役立ちそうな場面は、△△以外にありますか?」
機能から探す
「〇〇という機能を必要としている産業・用途には、△△以外にどのようなものがありますか?」
問題から探す
「〇〇という問題と、構造的に類似した問題が存在する異分野には何がありますか?」
技術能力から探す
「〇〇する能力を競争優位として利用できそうな、現在とは異なる市場には何がありますか?」
制約条件から探す
「〇〇という制約の下で同様の問題を解決しなければならない分野には何がありますか?」
同じ技術要素でも、問いの立て方を変えることで、異なる方向へ探索を広げることができます。
Cross-Domain R&D Concept Explorationでは、一つの固定された発想法を正解とするのではなく、複数の探索視点を系統的に試すことを重視します。
STEP 4 LLMで異分野を探索する
生成されたプロンプトを使って、LLMに異分野の候補を探索させます。
ここで期待するのは、完成したR&Dテーマではありません。
目的は、
- 新しい産業
- 新しい用途
- 新しい技術分野
- 新しい問題
- 新しい研究テーマ
- 新しい専門用語
を発見することです。
つまりLLMを、
「答えを出す装置」ではなく、「次に何を調べればよいかを発見する装置」
として利用します。
LLMが示した候補は、この段階ではあくまで探索仮説です。
STEP 5 発見した分野を従来の方法で調査する
ここからは、通常のTechnology Intelligenceが力を発揮します。
LLMによって初めて知った分野、技術、用途について、
- 論文
- 特許
- 技術ニュース
- 企業
- 製品
- 競合
- 市場情報
などを調査します。
LLMが、
「この分野に応用できる可能性があります」
と言っただけでは、R&Dテーマとして採用する根拠にはなりません。
その領域に実際にどのような技術が存在するのか。
どの企業や研究機関が取り組んでいるのか。
自社技術に本当に優位性があるのか。
市場として成立する可能性があるのか。
こうした点は、外部情報を使って検証する必要があります。
したがって、このアプローチは従来のTechnology Intelligenceを置き換えるものではありません。
Concept Explorationで「調べるべきもの」を発見し、Technology Intelligenceで詳しく調べる。
という前後関係になります。
STEP 6 GNG戦略マップで候補を構造化・比較する
異分野探索と情報調査を繰り返すと、多数の候補が集まります。
すると今度は、
「候補が多すぎて、全体が見えない」
という問題が起こります。
そこで、探索・検証した情報をConceptMinerによって再び構造化します。
最初に作るGNG技術マップが、
「自社は何を持っているのか」
を見るための地図だとすれば、
最後に作るGNG戦略マップは、
「自社技術から、どの方向へ展開できそうなのか」
を見るための地図です。
候補同士の概念的な近さ、自社技術との関係、候補群のまとまり、周辺的な領域、異質な候補などを俯瞰しながら比較します。
さらに、
- 自社技術との適合性
- 新規性
- 技術的実現可能性
- 外部情報による裏付け
- 市場性
- 競争状況
などを重ねて、候補を評価します。
ConceptMinerそのものが「このテーマを選ぶべきだ」と決定するわけではありません。
多数の候補を構造として捉え、人間とAIが次の探索・評価を行うための戦略マップとして利用します。


「技術マップ」と「戦略マップ」
このプロセスでは、ConceptMinerを二つの異なる目的で利用します。
技術マップ
社内文書・技術情報を構造化し、現在、自社がどのような技術資産を持っているかを見るためのマップです。
戦略マップ
異分野探索によって得られた外部の技術・用途・市場候補を加え、自社技術から、どの方向へ探索を広げられるかを見るためのマップです。
つまり、Known Space(現在の自社技術)から、Explored Space(探索によって見えてきた可能性)へ領域を拡張していきます。
一回のアイデア発想ではなく、探索を繰り返す
Cross-Domain R&D Concept Explorationは、一回LLMに質問してアイデアを得る方法ではありません。
基本となるのは、
技術知識
↓
技術要素
↓
問い
↓
異分野候補
↓
情報探索
↓
新しい知識
↓
さらに問いを作る
という反復です。
探索によって新しい専門用語を知れば、それまで検索できなかった領域を検索できるようになります。
調査した結果、新しい原理や課題を知れば、それを起点にさらに別の領域を探索できます。
最初は「知らなかったもの」が、探索によって「知っているもの」になり、それが次の未知領域への入口になります。
一つの「勝ちパターン」に限定しない
異分野への入口は企業によって異なります。
ある企業では、競争力の高い得意技術が起点になるかもしれません。
別の企業では、過去に解決してきた難しい技術課題かもしれません。
材料、加工、計測、制御、顧客課題、製造上の制約などが起点になる場合もあります。
過去の成功事例を分析して「勝ちパターン」を抽象化し、それを別分野へ展開することも一つの有効な方法です。
しかし、それだけが唯一の方法ではありません。
Cross-Domain R&D Concept Explorationでは、
「どの分析手法を使うか」よりも、「自社の既知の技術から、未知の領域へどのような問いを作れるか」
を重視します。
AI導入によって、社内ナレッジの役割も変わる
企業内ナレッジベースは一般に、
「社内にある答えを探す」
ために利用されます。
例えば、
「過去に同じ研究をしたことがあるか」
「この製品の仕様は何か」
「以前、この問題をどう解決したか」
といった利用です。
Cross-Domain R&D Concept Explorationでは、さらに一歩進めます。
社内にある知識を起点として、社外の未知領域を探索する。
つまり、
過去を検索するナレッジベース
から、
未来を探索するためのナレッジベース
へ利用範囲を広げます。
先行導入プログラム
ConceptMier R&Dの基本技術は確立された技術ですが、これを実際の企業様に適用するのは実験的要素があります。我々はユーザー様からのフィードバックをもとにシステムを調整することによって、はじめて完成された探索手法が実現できると考えております。そのため先行導入ユーザー様を特別な条件で募集致します。
検証したいのは、主に次の点です。
- 社内技術文書から、有効な探索要素を抽出できるか
- 質問パターンによって探索方向を効果的に広げられるか
- 汎用LLMへの単純な質問では見つけにくい異分野候補を発見できるか
- 発見した候補を外部情報で裏付けられるか
- 多数の候補をGNG戦略マップによって比較・評価できるか
- 実際に検討価値のあるR&Dテーマにつなげられるか
プロジェクトの基本フロー
1. 技術文書等のナレッジベース化
GNGによる技術マップの構築を含みます。
↓
2. LLMによる技術要素の抽出
ナレッジベースを参照しながら、異分野探索の種を切り出します。
↓
3. 質問パターン × 技術要素からプロンプトを自動生成
複数の視点から異分野への問いを作ります。
↓
4. LLMによる異分野探索
新しい用途、技術、産業、研究テーマ、検索キーワードを発見します。
↓
5. 従来型のTechnology Intelligenceによる調査・検証
論文、特許、企業、市場などを詳しく調べます。
↓
6. GNG戦略マップによる構造化・比較評価
候補全体を俯瞰し、有望な探索方向を検討します。
必要に応じて、このサイクルを繰り返します。
想定する成果
対象テーマに応じて、次のような成果を想定しています。
- 対象技術領域のナレッジベース
- 自社技術を俯瞰するGNG技術マップ
- 異分野探索に利用できる技術要素
- 探索に使用した質問パターン
- 発見された異分野・用途・研究テーマ
- 新たに獲得された検索キーワード
- 論文・特許・企業・市場等による検証結果
- 候補を俯瞰するGNG戦略マップ
- 有望候補と今後の探索方向
重要なのは、
「AIが面白そうなアイデアを出した」
というところで終わらないことです。
自社のどの技術から、どのような問いを経て、その候補が見つかったのか。
その分野には実際にどのような研究、特許、企業、市場が存在するのか。
さらに、他の候補と比較したときにどのような位置にあるのか。
そこまで追跡できる探索を目指します。
このような企業様を想定しています
- 新しいR&Dテーマを探索している
- 自社技術の新用途を探したい
- 異分野との技術融合を進めたい
- 技術文書や研究成果が社内に大量に蓄積されている
- 社内ナレッジベースをテーマ創出にも活用したい
- 論文・特許調査をしても既知領域の情報ばかり集まる
- LLMにテーマを考えさせてもアイデアの羅列で終わってしまう
- 自社技術を一度棚卸しし、別の角度から見直したい
- Technology Intelligenceの前段階にある「何を調べるか」を改善したい
知っている世界から、まだ知らない世界へ
新しいR&Dテーマを探すために、最初から未来を知っている必要はありません。
必要なのは、
自社がすでに持っている技術知識から、次の未知領域につながる問いを作ることです。
社内技術文書をナレッジベース化する。
そこから技術要素を切り出す。
さまざまな視点から問いを作る。
LLMで異分野を探索する。
初めて知った分野を通常の方法で詳しく調べる。
探索した世界全体を戦略マップとして見直す。
このサイクルによって、
既知のキーワードだけでは到達できなかった領域
へ、探索範囲を広げることを目指します。
Cross-Domain R&D Concept Exploration 先行導入プログラム
実際の技術テーマや社内資料を使った共同検証にご関心をお持ちのR&D・技術企画・新規事業担当者の方は、お問い合わせください。
お問い合わせ・詳細資料のご請求
